《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
★おおみそか
★おおみそか
「おう、一子。やっと来たな」
秀馬の家。玄関に現れた一子は、やけに着ぶくれしている。どうやら相当寒かったのか厚着してきたみたいだ。
軽くハグをすると、外気の匂いと甘い香りを同時に感じた。
「暑い……エアコン効きすぎじゃない?」
部屋に入ってくるなり、コートを脱ぐ一子。
「寒いよりいいだろ? 着すぎなんだよ。その分厚いセーターも脱げば?」
一子は、緑色の分厚いセーターを着ている。
「脱ぐ?! もう?」
「え? 何?」コートをハンガーにかけていた秀馬は一子の過剰な反応に、いささかひいていた。
「あ、うんと……大丈夫。全然大丈夫。」妙に焦った様子の一子。
「そうか? なあ、夜ごはんの前に風呂入れば?」
「お風呂?! もう?」
突然、素っ頓狂な声を出す一子。
「うん、これからテレビとかも見てゆっくり年越しすんだからさ、あ、俺は先に入ったから」
「真田さんは入ったの? もう??」
また、飛び上がるほど驚いている一子。
ーーーなんだ。この一子の反応……過剰すぎて……いじめたくなる。面白すぎる。
一子の反応が可笑しくて堪らなくなった秀馬は、一子に背を向け笑いをこらえるのに必死だった。