《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
いつの間にか派手になっていった母。

店も手伝わなくなり、秀馬や父に冷たくなっていった。

それでも、父は母の誕生日にプレゼントを送っていた。


「馬蹄のブローチだよ。フランスでは幸運をもたらすと言われてるんだ」
母のセーターにブローチをつけてあげる父。


秀馬は、そんな父と母を複雑な気持ちで柱の影から見ていた。


そして、次の日に母は、スーツケースを引いて男の元へ行ってしまった。父と秀馬を置いて。


男に溺れ、店まで抵当にいれてまで、お金を作り出て行った母を秀馬は許せなかった。

いずれ自分たちを見捨て母が出て行くだろうことは、うすうす勘付いていた。
それよりも父が借金のかたに店を取られてしまったことの方が、秀馬にとっては、ずっとショックな事だった。


秀馬が高校生になり胃癌で死ぬまで父は、借金を返しながら秀馬を守り育てる為に慣れない肉体労働をして働いてた。

好きな仕事を父から奪った母。

そんな母親を憎んでいた。
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