《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「このあとは……」
「まさか、こんな時間から用事があるなんて言わないわよね?」
腕時計を見ると、既に9時過ぎていた。
ーーーこんな時間に、こってりな食事もギラギラした肉食系の女も胃に負担がかかる。もたれる。
「……」
ーーーこれ以上、無理だな。
「仁美さん、申し訳ありません。僕は、付き合ってない女性の家には行かない主義なんです」
「じゃあ、付き合えばいいじゃない?」
軽く言う仁美。
「そう簡単には、いきません」
「じゃあ、面白くもない堅物な考え方を変えれば?」
少し怒っている風な仁美。
「もともと面白くない人間なんで。本質を変えられません」
「秀馬さんってば、私を馬鹿にしてる?」
睨んでくる仁美。
「まさか、少し……僕の方が世代のギャップを感じるだけです」
「わたしが年下過ぎるってこと?」
ムッとする仁美。
「いや、僕が歳をとっただけです」
秀馬は、肩を出した黒いワンピースを完璧に着こなす仁美を眺める。勝気で若い仁美の艶めいた肩は、店の間接照明のおかげでより色っぽく見えていた。
「秀馬さん、私なら平気よ。年の差とか気にしないから」
身を乗り出し畳み掛けてくる仁美。
ーーーこのままだと、俺が食われるのは時間の問題か?
身震いする秀馬。
「仁美さんみたいにエネルギー溢れる女性は僕の手には収まりきれない。どうか……」
ーーーああ、手っ取り早く肉食系な女は苦手だと言ってしまいたい。だが、相手は大事なお客様だ。