《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
★かいだん
★かいだん


気持ちのいい朝だ。

寒いことには変わりないが、空は青く澄み渡り清々しい気分だ。人の混雑もあまり気にならない。


そんな清々しい朝にはふさわしくないものが目についていた。


ーーーなんだ、アレは……。

店のある駅に降り立つと、左右に分かれていく人の波。
まっすぐ目を向けた所にベンチがひとつあり、そこにのんびりと座っている人物がいる。


その人物は、やけに斜めに傾いていた。もう少しで倒れそうだ。


ーーーしかも!


急いで近づいた秀馬は、傾いている人物を確認した。


ーーーやっぱり、ざんぎりだ。

向かって左に傾いている人物は、一子だった。秀馬は、コートを脱ぎ一子の膝にかけた。

ーーー居眠りするなら、スカートはやめるべきだ。


居眠りしている一子は、スカートを履いていながら足を開きかけていたのだ。

一子の隣に座っていた人物が椅子から立ち上がったので、ひとまず秀馬は腰を下ろした。

すると、傾いていた一子がまっすぐに姿勢を直した。

ーーー起きたか?
顔を確認すると、まだ瞼を閉じている。


ーーーまだ寝てるのか。幸いにも今日はいつもより寒さが和らいでいるから良いものだが……。


呆れながら、秀馬が腕時計を見て時間を気にした時に、ふいに一子がふんわりと秀馬の方に倒れてきた。

「!」

秀馬の肩にもたれかかる一子から、かすかに寝息が聞こえてきていた。


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