《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「えっと、あのその髪型はぁ」
言いにくそうに女の顔色を窺いながら話かける歩。
ーーー何してんだ? まどろっこしい奴。
腕組みをして、足のつま先をタンタンと動かしながら歩の次の言葉を待った。
「あ〜なんて言うか……個性的で……素敵ですねーって……はははっはぁ」
女に髪型の謎を聞けない歩は、苦笑いして秀馬を見た。
ーーー何が個性的だ。褒めてる場合か!
「素敵ですか? 初めて言われました。ありがとうございます。これ、自分で切ったんですよね〜」
襟足辺りの毛先を摘み、満足そうな笑みを浮かべるざんぎり女。
ーーーなるほど。自分で切ったのか? いや、自分で切ったとしても、もう少しまともに切れなかったのか? 切れないハサミでも使ったのか?
無遠慮に女の髪型を観察してみる。見れば見る程にガチャガチャに切れている。
「秀馬さん、見過ぎ」
秀馬に注意しながら歩は、愛想笑いを女にしてみせた。
「で、もういいですよね? ああなった理由がわかったんですから」
女を気づかってなのか歩は、秀馬の背中を押して女から早く離れようとする。