《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
親指と人差し指で一子の額をデコピンした。
「起きろ。朝から…」
いい終わらないうちに、すくっと立ち上がる一子。膝にかけたコートが地面に落ちた。
「お前! 俺のコートを落とすな」
「今、何時ですか?」
切羽詰まるような顔で秀馬を見る一子。
「時間か? 8時7分だ」
「え! 大変!もっと早く起こしてくれれば! 急がないと!」
一子は、そう言うとあたふたして早足で行ってしまった。
ーーーなんつう女だ。早く起こしてくれればだと? まるで俺が悪いみたいな言い方じゃなかったか?
朝から居眠りに付き合ってやったのに、お礼も言わないのか?!
ブツブツ文句を言いつつ秀馬はコートについた汚れを手ではたき落とした。