《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
一番最後に戸締まりをして店を出た秀馬。店の前にあるレンガ作りの階段に丸まっている座りこんでいる人影を見つけた。
ーーー誰だ?
秀馬は、座っている人物の前に回り込む。
「あ! またかよ」
驚いた秀馬の声にびっくりしたように跳ねた人物は、顔を秀馬に向けた。
「真田さん!」
慌てて立ち上がり、大きな瞳をぱちくりさせる一子。
「あの! 良く考えてみたら今朝のアレは、いや、そのですね? 私の行動は……全く失礼だったんじゃないかって……すごく気になって気になって……気になって」
たどたどしい言い方だった。
「あんたはさ……きっと」
秀馬の問いかけに、より大きく目を開けて集中している一子。
「気になっても眠れないことってないんだろうな。今も寝てたし」
「はい、それだけが取り柄です」
元気に返事をする一子は、やけに嬉しそうだった。
「褒めてないんだけど……」
「え?」
びっくりしたロバ顔負けに大きな瞳で見つめられると何も言えなくなっていた。