《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
急に首の関節を鳴らす秀馬を眺めながら、一子が口を開いた。
「あの……昨日、歩さんがタッパーを返しにきてくれました」
「ああ、聞いてる」
「お口にあいましたか?」心配そうな表情を浮かべる一子。
「あったんじゃないか? みんなバクバク食べてたから」
「みんな……ですか。あの真田さんの口にはあいましたか?」
「俺?」
一子の大きな瞳が秀馬をとらえていた。少し沈黙してから秀馬は、返事をした。
「……合った」
「本当ですか! 良かった。心配してたんです。お礼においもの天ぷらなんておかしいって妹……。それにカリスマ美容師は、おいもの天ぷらなんか食べないよって言うから……」
ーーー妹の方は、まともみたいだな。
「合ったが……」
秀馬は、横目で一子を窺う。
「足りなかったな。量が」
「あ、すみません! あれ以上、大きなタッパーが無くて……次回は、もっとたくさん用意しますね!」
生き生きとした表情で満面の笑みをみせる一子。
ーーー次回? 俺は、こいつとまた会う予定でもあるのか?
全身が痒くなってきた秀馬は、一子から更に距離を置いた。