《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「はい、わかりました」
シュンとなる一子を秀馬がチラッと見た。
次の瞬間、秀馬が自分の腕を掴むように一子の手をとり導いていく。
「使えばいい」
「え?」
「あんた危なっかしいから、俺の腕を使え。電車でも危なっかしいやつは、手すりを掴むのが常識だからな」
恐る恐る一子は、秀馬の腕を掴んだ。
「すみません。なんか……迷惑ばかりで」
「いや。転ばれたら、余計に迷惑だからな。あらかじめ危険は回避しないと」
「……はあ、でも嬉しいです」
はにかんだように微笑んだ一子。
「嬉しい?」
「はい、真田さんと腕を組めて」
「腕を組んでるとか言わないてくれ。俺は、あんたに腕を貸してるだけだ」
「はい、わかってます」
ニコニコ顔の一子を秀馬は、複雑な表情でみていた。