《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「ほら、頭の方」
答えるのが遅い一子にしびれを切らしたような秀馬が、一子に頭の方を差し出した。
「いいんですか?」
「ああ、どっちでも大差ない。それにあんたは頭の方が好きそうだからな」
ーーー頭の方が好きそう? どうしてだろう。
首をひねりながら、頭の方半分を受け取りパクついた一子。
「おいひい!」
ーーーたい焼き大好き。あんこは、多けりゃいいってもんでもないのよね。外の皮? の方が好き。
ハフハフいいながら食べる一子を黙って見ていた秀馬。
「あんた、リスみたい」
「え?」
一子のほっぺたは、リスみたいに膨らんでいた。
くくっと笑う秀馬。
そんな秀馬をたい焼きでほっぺを膨らませたまま、一子は見つめた。
「初めて見ました。真田さんの笑った顔!」
「……」笑顔を消して秀馬は、黙ってしまった。