《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★

小さな女の子だった。ぺとりと秀馬の足にしがみついて立っている。見上げてくる瞳は、やけに大きい。ニコニコしながら、秀馬の足をペシペシ叩いていた。

顔は、可愛いのに髪の毛がざんぎりだった。その髪型を見てハッとしたように秀馬が一子を振り返った。

「これ、まさか……」秀馬が、足にまとわりつく女の子を指差した。


「あ、はい、姪っ子です。すみません。……愛ちゃん、おいで」

イヤイヤと首を振る愛。


「姪……そっくりだな。あんたに」

「はあ、そうですか? うちの家族は、お父さん以外は、こんな顔です」
愛は、ニコニコして秀馬を見上げ両手を上げた。

「抱っこ」

愛の言葉に固まる秀馬。

「おい、抱っこだってさ……」

「はい、愛ちゃ〜ん抱っこしようか」

しゃがんで愛に手を広げてみせる一子。だが、愛は首をぶんぶん振る。


「あの、私じゃなくて……真田さんがいいみたいなんです」
すまなそうに一子が言う。


「抱っこ? 俺がなんで?」
愛の瞳がウルウルし出した。



「あの、はい、大丈夫です。なんとかしますから、真田さんはお帰りくださ……あっ……」
一子がいい終わる前に、秀馬が軽々と愛を抱き上げていた。

< 56 / 342 >

この作品をシェア

pagetop