《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「少しは、ネイルとかしてみようかな」
独り言を呟き、一子は自然と笑顔をこぼしていた。
―――真田さんにカットの仕方習えば、これからは末子の髪型も可愛くなるだろうなー。それに……
カットを習う事という本来の目的を忘れるくらい一子の心は弾んでいた。
―――また、真田さんに会えるんだ。
一子は、自分の右手首を左手で掴んでみた。
―――真田さんの手、大きかったな。
秀馬に掴まれた手の感触を思い出してにんまりする一子。
―――真田さん、今頃何してるかなあ。
仕事をしているに決まっている秀馬の事を考え時折物思いにふける一子の姿は、だれがどう見ても俗に言う所の『○○する乙女』のようだった。
だが、自分の心に日毎大きくなる秀馬の存在にも気がつかないほど、鈍感な女の代表選手である一子は、わからないがナゼかなんとなく嬉しい気持ちがいっぱいで、こんなに幸せ気分でいられるのは大変良い事だと一人で浮かれていた。
―――さて、仕事仕事。