《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
湯気の立ち上るコーヒーをそっと出しながら一子は尋ねた。

「そういえば、真田さん。今日は、置物を探しに来たんですか?」



カップに口をつけて一口飲もうとしていた秀馬が驚いたように
「あちっ!」と声を上げカップをテーブルに戻した。



「あ……熱いな。このコーヒー」



「ごめんなさい。熱すぎました?」
心配して秀馬の顔を覗き込む一子。

急いで奥に入りグラスに氷入りの小鉢と水を入れたグラスを持ってきた。


「はい、これどうぞ。火傷してません?」水を入れたグラスを渡して、秀馬の顔を見た。


「大丈夫だ」


「舌を出してみて! 早く」


「舌? いいっ。大丈夫だって言ってるだろ」


「いいから、早く、出してみて」

しぶしぶ舌を出してみせる秀馬。



「大丈夫そうだけど……これ、持って来ましたから……氷をなめてみてください。少し良くなるかも」

小鉢に持ってきた氷をつまんで、秀馬の口元に運ぶ一子。




「舐めない。氷なんかいらない」


「そんな! 火傷って後でひどくなるんだから! さっ、口開けてください」


―――前に末子が熱い汁を飲んだ時に氷を舐めたら、だいぶ落ち着いた事があったし、少しは効き目があるはず。






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