《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
楽しく過ごして、なおかつ癒されたい。それに変に束縛しないで、常に相手を信頼したい。
でも、それ以外に、もっと基本的なものがあると思えた。
ーーーでも、それってなんだろ。
わからないまま、一子は歩に手を引かれて歩いていった。
植物館の出入り口付近ではイベントが催されていた。
「こちら、ミラクルフルーツの体験イベントを行っていまーーーす」
お姉さんの呼び込みに吸い寄せられるように、一子と歩もイベントに参加することに決めた。
赤い実のミラクルフルーツ。実際に見るのも、ましてや食べるのも初めての体験だった。
「こういう体験ものっていいよね。初めて体験したものってさ、結構後々まで覚えてるもんじゃねーかと俺は思うんだよ。だから、これも秀馬さんに勧めてえなー」
「あ、うん。いいかも」
―――初めての体験。確かに今までの人生の中で色々あった初めてな瞬間。それって、その瞬間しかない訳で。
一子は、ミラクルフルーツを一粒口に入れて、イベントのお姉さんに言われたとおりに舌の上で転がした。