《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「一子ちゃんですよ。一子ちゃん」
駅前の韓国料理屋で、サムゲタンを食べていた。この店に入るまでに何度も歩が繰り返し言っていた名前だった。
ーーー何度も聞かされてると、イチと耳にしただけで、嫌でもアノざんぎりの顔が頭に浮かんでくる。
「ああ、何度も言うな。あのざんぎりがどうした?」
銀のスプーンでアツアツのスープを飲む。舌を火傷しそうだ。
ーーー火傷したら、氷をもらえばいいか。
秀馬は、また一子のことを思い出して、なんとなく笑えていた。
「デートしたんですけどね。昨日」
スープをすくおうとしていたスプーンの動きをピタリと止める秀馬。