《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
ーーーそう言えば、そんなことを歩は少し前に言っていたな。だから……アノざんぎりは妹のヘアカットを来週にしてくれと言った訳だ。
秀馬は、急に手を伸ばしてメニューを掴みパラパラとめくり始めた。
「秀馬さん、メニュー反対になってますけど」
「あ? わざとだ。お、お前に見せようと思ってだな…腹は、いっぱいになったのか?」
「えっ? ああ、俺の為っすか? スミマセン。今日は、冷麺だけでいいっす」
「そうか。なら、いい」ちらっと歩を窺ってからメニューを閉じてテーブルの端に置く秀馬。
「ミラクルなんすよねー。これが」
寒い季節に冷麺を食べる歩が、銀の箸で冷麺の入っている銀の器を叩いた。
耳に心地よいとは言えない音が響いて、秀馬は歩をギロリと見た。
「行儀よく食べろ」
秀馬はメニューを閉じてテーブルに置くと、水をがぶ飲みする。
「はい、了解してます。でね〜一子ちゃんとデートして俺、ビクってきました!」
「ビクっ?」
ーーービクって来た? デート中、何に驚いたんだ?
「ビクってくるってことは〜運命っすかねー!」
ーーー運命でビクってきたとは言わないだろ。まぎらわしい話だ。
歩の言葉遣いにうんざりながらも秀馬は、サムゲタンの鶏肉を口にした。