続*時を止めるキスを —Love is...—
肩を支えるように回された片腕にそっと触れながら、「ねー、りゅう」と口を開いた。
「……なに」と、浴室特有の音響効果がさらに彼の声を一段低い音とする。
昔、といってもほんの少ししか経っていない。
でも、そう感じるほど彼と過ごす時間は愛しい。
「私ねー、女捨てなくて良かった」
「ったく、何言い出すかと思ったら。
——俺はずっと、藍凪を女に見ないように努力してたってのに」
そう言って後ろから微かな重みが掛けられる。
その刹那、首筋にチクリと甘やかな痛みを与えられた。
さらに髪を軽く搔き上げられ、項(うなじ)にも柔らかな感覚を押し当てられる。
「…ん、」と、バスルームに堪えきれずに漏れ出た私の声が小さく響いていた。
お互いにまだまだ知らないことはたくさんあるだろう。
もちろん、仕事中は怖い上司であることは変わりない。
けれども、本当は不器用な優しさで愛してくれるから。
今はただ、ひたすらに龍が好きな女でありたいと思う。