続*時を止めるキスを —Love is...—


一年半も付き合っていたのに、電話で振り逃げしたのは誰よ?——ていうか、宅配便で送り返して来たのはそっちじゃん!

浮気相手から本命に昇格した女の顔も名前も知らないけど、……まあそれはどうでも良いよ。


「あー、面倒くさいなぁ」

真夜中にひとりぼっちで呟いたこんなひと言で、溜飲を下げられるほど甘くはないな。

ひと瓶飲み干して自室に戻っても眠気は訪れない。それでも疲れた身体をベッドへ潜り込ませ、真っ暗な天井を見上げていた。

電話一本で捨てられたのはかく言う私のこと。それもひとりで残業中の真夜中とあれば、アラサーには酷すぎて今さら身震いするわ。


“送り忘れたものがあるから持って行く。いつなら大丈夫?”

そして電話一本で浮気相手に乗り換えた元彼こそ。さっき唐突にこのメールを送ってきた来た相手だ。


着信拒否する必要もなかったのでアドレス消去うんぬんを忘れていた私、ほんとにアホだ。

まあいっか、が口癖なズボラ気質の現れかもしれません。友達にも適当すぎってよく言われるしなぁ、と反省点が浮き彫りになった。


でも、あの頃から今の今まで、ちっぽけなことを気にする余裕なんてなかった。

振られた直後に告白してくれた龍に心乱されて、いっぱいいっぱいだったから。


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