続*時を止めるキスを —Love is...—
強い口調で正論を翳された私は、「でも、仕事が」と口籠るばかり。……何だろう、この国を軽く超えて伝わる剣呑さは。
「オマエに心配されるほど無能じゃねえよ」
不思議でなりませんが、電話越しなのに、ピシャリと言ったドラゴンと顔を突き合わせている錯覚に陥っています。
彼の電話越しに聞こえてくる、チャイニーズの賑やかすぎる早口の声が余計にイライラを募らせる。もはや八つ当たりだ。
「ああ、そうですね。どうせ私は」
「分かってんなら、素直になれ」と、温かみのある声色で言葉を遮られた私は、ついに押し黙るしかなくなった。
——この人には頭の出来うんぬんじゃなくて、こういった本質の違いで勝てないなと実感する。
「……今夜19時、北赤羽にあるファミレスで会うけど、物受け取ったらすぐに帰る。
だから、本当に心配しないで?それと、龍も気をつけて帰ってきてね」
根負けしたように白状する。時間と場所を伝えたのは、これ以上の心配をさせなくて済むだろうと思ったから。
ズボラはズボラなりに、龍に余計な心配をさせるのが嫌なだけ。もちろん声が聞けて嬉しいけど、負担になるほうが嫌だ。
それが彼にはお気に召さないと言うのだから。……折り合いを見つけるためには、もう少し時間と言い合いが必要らしい。
ちゃんと私の口から報告したためか、「分かった」と短く了承した彼との通話をようやく終えた。