続*時を止めるキスを —Love is...—


そして、もうひとつ。柚さんが男女問わずに好かれる理由も実感させられた。

あっけらかんとしているのに、にじみ出る女性らしさは可愛らしくて、同性の私でもドキドキしてしまう。

口ではあれこれ容赦なく言うものの、気遣いと愛に満ちている。一度出来た人との繋がりを大切にし、こうした感謝も絶対に忘れない。

それらが当たり前に出来るところを見習いたい、と素直に思える憧れの女性だ。


「……ドラゴンに素直になれたのは柚さんのお陰ですよ?」

きっとこれは、ほろ酔い状態でワインの選択に夢中な彼女の耳には届かなかっただろう。

それくらい小さな声で呟いた私はやっぱり、まだまだ素直じゃない。

その間に若いお兄さんを捕まえて、上気した色気たっぷりの表情で彼のお勧めワインを注文する姿を眺めながら思う。


同期でも評判の、喰えない男——龍って、何で彼女には堕ちなかったんだろう?と。


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