続*時を止めるキスを —Love is...—
日付が変わった頃にタクシーで帰宅すると、お風呂上がったばかりの龍に出迎えられた。
玄関先で千鳥足を披露すると、「お帰り」と会社の時とは違う声色で言われ、へらりと笑い返す。
「ただいま〜」と、真夜中の室内に不釣り合いな呑気な声が響き渡った。
ちなみにここは自分の家じゃなくて、彼のマンションだ。
付き合い始めてから、週末は互いの予定が合えば彼の家で過ごすのが定番化している。
今夜は彼が出張先から直で戻ってくるというので、こちらで過ごそうと予め決めていた。
「りゅー、メガネしてなーい」
「……相当、飲んだな」と、微かに眉根を寄せた彼が言う。
「かーわいいっ」
きゃはは、と意味もなく笑えてくるのはお酒のせい。本人がよく分かっていないが、気分だけは絶好調だ。
あれから二軒目に移って柚さんとふたりで浴びるくらい飲んで騒いできたし、多分しょうがない。
それに水を差すように至近距離からチクチクとした視線を感じる。が、今はダメージに及ばない私はにまにま笑ってみせた。
「その口、塞ぐぞ」
「ふーん。すればぁ?」
——お酒臭いですけど?、と化粧も崩れまくりの顔を差し出して返す。