続*時を止めるキスを —Love is...—
しいていえば、毛先のみを品よく巻いた艶のある黒髪とスタイルの良さは共通項だろうか?
鈴を鳴らしたような声や穏やかな話し方を目の当たりにしていると、最後は龍と結びつけられませんが。
「あの、以前、藍凪さんに誤解を与えてしまったみたいでずっと直接謝りたかったんです」
「え!?そんなの、こちらが勝手に」
「もう!龍が悪いんですよ。もうちょっと気遣わないから!……ううん、私のほうが」
口を尖らせたかと思うと、しゅんとした顔を見せてまた頭を下げようとする。
いやいや、これ以上謝らないで……!と懇願する私に、ようやくホッとしたように微笑んでくれた。
そこでカフェオレを飲みながら、同じくホッとさせられた。……今日は甘いものを選んで正解だったと、つくづく感じながら。
「それと、もうひとつ。
実はこっちが本題なんですけど、藍凪さんにお願いがあってお邪魔しました」
「ん……?何でしょう?」
グラスをトレーに置いて居住まいを正す。しかし、表情が固くなってしまった央華ちゃんに首を傾げる。
「実は、兄にお見合い話が出てるんです。私、あんな女……っと、口が滑りました。
……あんな品のかけらもあらへん女とか、ばり嫌っ!あの親父、何しとんっ!」
始めは気落ちした様子で、それはもう美少女の憂いた顔を見せていた。が、段々と語気が変化していく姿に唖然とさせられる。
きっと普段は、モデルの仕事でこっちに来る機会も多いから標準語を使っているのだろう。
ともあれ、苛立つと神戸弁がポロッと零れる点を発見し、龍との血のつながりは完全に証明されました。