続*時を止めるキスを —Love is...—
ついには舌打ちまで美少女から飛び出したけど、そろそろ窘めるべきなのだろうか?
可愛らしいお顔に似合わず、気が強いそのギャップにお姉さんは胸キュンだけどね。
「……って、見合いいいい!?」
「今さらっ!?」
美少女の本性ばかりに気を取られていた私の唐突な発狂に、的確なツッコミを返してくれる央華ちゃんはさすが関西人だ。
とはいえ、驚きの事態に口を金魚のようにパクパクさせてしまう。すでにお姉さんの威厳ゼロである。
「な、なんで!?」
「オヤジ……いえ、父の取引先の令嬢なんです。
私、大阪にある学校に通ってるんですが、その人の妹と同級生なのでよく知ってるんです。
はっきり言って、女のくさった感じだと思って下さい。
顔はそこそこだけど、それを打ち消すくらいの性格と態度の悪さですから」
「……央華ちゃん、はっきり言うタイプなんだね」
ついつい感心しながら言うと、バツの悪い顔を見せた。その表情がまた可愛いとは羨ましい話だ。
「んー、私、女子校通いのうえ少々お仕事をさせて頂いてるせいか、女の裏の顔を嫌ってほど見てきてるんですよね。うんざりしますよ?
それもあって、嫌いな人にはとことんなタイプなんです。
あ、藍凪さんんことは龍から話を聞いてたし、実際に会ってみてやっぱり好きなタイプでした。
私たちってちょっと地味な人のほうが落ち着けるんですよ。ふふ、兄妹揃って好みが似てるのかな」
彼女から敵意を向けられないと分かって、凡人はいささか安堵しているんですが。
この毒舌な兄妹の発言にはたまに放心するのが、心が折れない秘訣かもしれない。