続*時を止めるキスを —Love is...—
彼女の話に「はぁ……」と、間の抜けた声を漏らしてもさして気にしない点もやっぱり似ているわ。
「それに藍凪さんと付き合ってくれたおかげで、私いま聖吾くんちにお泊まり出来てますしね〜」
「……彼氏?」
「それが、まだ彼氏じゃないって言うんですー。
元々は龍の友だちなんですよ。で、家に遊びにきた彼に私が一目惚れしたんです。
それからずっと好き好き言い続けてるのに、いまだに子ども扱いで。ひどいと思いません?」
「……ええと、きっと色々と考えていらっしゃるんじゃないのかな?」
差し障りのない曖昧な答えを返すと、はぁと憂いを帯びた眼差しを見せる彼女。
「そうだと良いんですけどねぇ。
事あるごとに、俺なんかより似合う男はいるぞって言うんです!ひどいでしょう?
ムカつくから、いつもその口塞いであげますけど」
ということは、聖吾さんという方は私よりも年上ということで。……積極的な十代に拍手だ。
「ちなみに私がお仕事を始めたのも、東京で働く聖吾くんと少しでも会えるようにっていうのがきっかけです。
ほんとは聖吾くんのお家に押し掛けようとしてたのに、父の待ったが入って揉めてしまって。
そこで龍が取り成してくれたんです。
私はまだ未成年だし、お仕事の許可が下りただけで我慢したんですよ?
また聖吾くんとも会えるようになれただけ良いかな、って。あれ以上わがまま言うのも子どもみたいだし。
あ、もちろん今は責任を持って取り組んでますよ?
色々な業界の方とお会い出来るし、純粋に楽しませて貰ってます」
そういえば、遅く出来たお嬢さんだって、龍もいつか言っていましたね。
ご両親が猫可愛がりされる光景が目に浮かぶわ。今になって思えば、世のお父さんも大変ですな。