続*時を止めるキスを —Love is...—
誰だって、面倒ごとに関わりたくないのは当然のこと。当事者の私ですら、この場を逃げようと画策していたのだから。
「庶民の分際でっっ!」
ジンジンとした熱と痛みを覚えながら、目の前で金切り声を上げる女性には冷ややかな視線を送った。
「……何のことを仰っているのか、私には皆目見当がつきませんが。
その庶民に手を上げたあなたが公正に裁かれるよう、暴行罪で訴えましょうか?
貴方のご実家がセンセーショナルに取り上げられた挙げ句、庶民以下の生活がお待ちかねかもしれませんね。
その覚悟がおありでしたら気の済むままにどうぞ?もちろん私は一切の手出しをしませんが」
「なっ……!」
「まして、人に暴力を振るうことがいけないことくらい小さな子でも知っていますよ。
あなたはそんなことも学ばずにいらしたのでしょうか?」
ここまで一切の感情を見せず、冷めた眼差しを送りながら話を続けていく私。
相変わらず頬はピリピリと痛むけれど、こんなの小さな頃によく怪我をしていたお転婆娘には大したことないものだ。
「私は龍の婚約者なのよ!?」