【完】銀髪ヤンキーとヘタレ少女
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――遡ること10分前。
夏を感じさせる高い気温と、まるで蒸し器で蒸されたようなもわっとした教室
いつも通り一番仲のいい親友のあっちゃんと帰り支度を済ませ、ガールズトークに華を咲かせていたときだった。
「ひゅ、日向さんッ!」
そこそこ仲がいいクラスメートの女子、吉本さんに泣きそうな声で名前を呼ばれたと思ったら、教室の入り口を指さされて、半絶叫で言われたのだ。
「呼んでる!」
と。
それだけ伝えると、用件は告げたとばかりに背を向けてそそくさと教室を出ていってしまった吉本さんに首をかしげてから、そっと入り口に目をやると、
……見事に固まってしまった。
そりゃあもうカッチンコッチンに。
ガッチガチの石像みたいに。
そして、さっきの吉本さんみたいに泣きそうになった。