魔法銀行
「今日の依頼主はどんなのだろうねぇ。」

「あんたにはもう全部分かってるんでしょ。」

私は無駄に広い部屋にぽつんと置かれた"受付"という札付きの机のうえででかい体をくつろがせている"猫"を見た。

こいつの名前はチェシャ猫。ある童話に出てくるあのよく分からない猫。

「チェシャ猫、もうすぐ来るから消えて。」

「はいはーい。じゃ、頑張ってね。アナちゃん。」


…………最悪。
チェシャ猫が『頑張ってね』と言うときは仕事が増えるということだ。

「3日連続残業決定………。」

姿を消したチェシャ猫の気配は消えてない。

多分この部屋のどこかで面白がるんだろう。


コンコン……

「どうぞ。」



< 2 / 6 >

この作品をシェア

pagetop