魔法銀行
「先程新しい"者"が来ました。」


ダンの膝の上から降りてこちらへやって来た少女、ミーナを見ながらそう伝える。

ミーナの眼は私が持っているさっきまでは服だった布。

"貸して"ってことか………。


「あなたのお兄さまに先ずは見てもらわないと。これで遊ぶのはその後ね。」

そう言ってダンに渡すと彼は布を手に取り、じっくりと見始めた。


「"者"は黒蝶さんが治療中、"心"は稲荷が捜索中です。」

「相変わらず愛想のなさと仕事の出来はトップクラスだね。」

「頭取の嫌味に比べたら到底及びません。」


私の切り返しに笑いながら冷静に分析していくダンは純粋にすごいと思う。


「これ、二人の血が混じってる………。一つは"者"の、もう一つは……。」

「"心"の、ですか?」

「いや。だが、二者に密接に関係している人間だ。」

布から解ったのはそれだけなのだろう、ダンは持っていた布を綺麗に畳んでミーナに渡した。

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