square moon
そんなことを考えていると誰かからSMSメールが届いた。

誰だろうと思うと今まさに考えていた『彼女』からだった。

『吉沼です。今日はありがとうございました。ありがたくいただきます。ユウさんも無理なさらず。何かあったら連絡くださいね』

何かあったら、か。
彼女に話したいことがたくさんある気がした。

『かえってお忙しいところありがとうございました。生前父がお世話になりました。
僕の知らない父をあなたは知っているのかなあと思います。』

思ったことを素直にぶつけた。

少し時間があってから
『教師として、父として、人として、男として、色々な顔を持っていたと思いますよ。みんなそうだと思いますが。』
と返事が来た。

『僕は父としての父しかたぶん知らないんだろうな。』
と返すと
『逆に私は父としての彼を知らないんですよね。とはいえ、あなたと弟さんの話をするときは優しい顔をしていましたよ。父としての彼の一面だけは見ていたかもしれませんね。』

彼、と彼女は父を呼ぶ。
先生、とは呼ばないのはやはり違和感を感じる。

『そのうち父の話を色々したいですね。』
『そうですね。供養になるかな?お休みなさい。』

彼女にとって父は、
父にとって彼女はどういう存在なのだろう。
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