square moon
『…ねぇ?ユウ!!!』

その声ではっとした。

『あ…ごめん。考え事してた。』

ある日僕の彼女の彩が家に来ていたとき、
吉沼レイラのことを考えてしまっていた。

『お父さん亡くなってからそんな調子の事が多いよね?』
『あ?あぁ…なんかね。
親父亡くなったことが、まだ実感わかなくて。色々考えるんだよな』
『まぁお父さん、一人だったしね。
私も可愛がってもらったもんなぁ』

そうだ。彩を家に初めて連れていったとき。
親父はなぜかはしゃいでいた。
俺と彩をあちこち連れていってくれた。
あまりのはしゃぎっぷりに
『俺の彼女なんだよ?』
と一喝したほど。

『お父さん、あのときさ。
ユウと別れても遊びに来ていいんだよ、って。』
彩が笑いながら話してくれた。
『そんなこといってたの?』
『うん。なんか嬉しかったなぁ。あのときは。
ユウと別れてないのに、お父さんがいなくなっちゃうなんてね…』

彩の心にも父は生きていてくれてるだろうか。


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