square moon
綺麗な顔ではない。

だが、なんだか綺麗に見えた。

彼女を見ていると彼女も僕に気づき、
あっ、という表情をした。

が、隣にいた彩に気づき、小さく頭を下げてきた。

『どうも、先日は。』
僕から声をかけた。
僕の声で彩が顔をあげ僕の視線の先を追い、
彼女をとらえた。

誰?という表情をしていたが彩も頭を下げた。

『色々ありがとうございました。』
彼女が少し笑いながらいった。

『無事四十九日も終わりました。』
『そうですか。早いね。』
『また、連絡しますね。』
『あ、わかりました。』
そういうと彼女は僕と彩に頭を下げ、僕とすれ違っていった。
小さな後ろ姿を見つめた。
『あの人、誰?』
彩が聞いた。
『親父の教え子。』
僕はそう答えた。
『なんか、颯爽とした人だね。
お父さんが好きそう。』
そういうと彩は笑った。

『なんで、そう思う?』
僕は彩の言葉に疑問をぶつけた。
『ほら、お父さんもはっきりした人だったから。
ああいう教え子さんはかわいがったんじゃないかな?』
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