square moon
僕は泣くだけ泣くと彼女の体から離れ顔をあげた。

『すみません…俺…カッコ悪い』
『いいのいいの。泣くのは大事だよ。
ほら、赤ちゃん生まれたときに大きい声で泣く子ほど元気だから』
仕事柄なのだろうか。
この人のいってくれる事に安心している僕がいる。

父もこんな気持ちで
彼女に会っていたに違いない。

『あの…父は、あなたが特別だったと思います』
僕が急に言うと彼女は狐につままれたような顔をしていた。
『息子としての、勘です』
『そう?
だったら、嬉しいな…
あの人私に対してなにも言わない人だったから…
あ、でも…』
そういうとニコッと笑って
『一度だけ私の事を身近な人、といったことがあったな。』
といった。

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