square moon
葬式も終わり少しずつ元の生活に戻ってきた。

葬式のバタバタでそれどころではなかったが
思い出したことがあった。

父が生きていた頃に
『俺にもしものことがあったらある人にこれを渡してくれよ』
といわれて封筒を見せられたことがあった。

その時に
『縁起でもないこというなよ』
と僕は笑ったが
『俺もいい歳だしさ。
いつどうなるかわからんから』
と父はいった。

そういやどれだったっけ?

と父の部屋に入ってみた。

父の本棚を探してみる。

『あ』
これだったかな、という封筒があった。
封筒には
『吉沼レイラ様』
と言う名前と携帯番号が書かれていた。

『多分、これだよな。』
俺は独り言を呟く。

父の最後の願いだから、この人に連絡をとってみることにした。
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