square moon
『あ、アルバム…』
確か父の部屋に卒業アルバムがあった。

今まで赴任していた学校のが色々あったはず。

今度実家にいったら見てみようと思った。

そう思い、トモに電話をした。

『もしもし?トモ?』
『どうしたの?』
『どうよ?』
『ん~疲労困憊。仕事疲れる。』
トモは保育士をしていた。
『やっぱ疲れるよな。』
『もうね、毎日ばたんきゅーだよ。
ベテランの先生なんか歳いってんのに良くできるなぁと思うよ、正直。』
『40代になったらベテラン?』
ふと、彼女を思い出し聞いてみた。
『40代はすげぇ戦力だよ。
大ベテラン。
ほら、50代になると管理職になるからさ。
現場で40代はすげぇよ。』
そうだよな。
彼女も仕事ではそんな立場なのだろう。

『あのさ、トモ。
今家にいる?』
『うん。』
『お父さんの部屋にさ、卒業アルバムってある?』
『は?なんで?』
『今までいた学校のあるのかな?って。』
『だからなんで?』
『あ、職場の人がお父さんいた学校にいたらしくて。』
咄嗟に嘘をついた。
『へぇ~お父さんの教え子と働いてんだ。』
『かもしれないから、アルバム見たいなと思って。
あるかどうか見てきて』
『あぁ、どれどれ。』
とトモが父の部屋までの足音が聞こえた。

『ええと…
あ~結構あるね。
A中、T小、K中、T中、U小、S中、I中…』
『I中、ある?』
『うん、あるよ。』
『そっかぁ。今度帰ったら見てみよう』
『兄ちゃん、いつ帰ってくる?』
『ん~まだ予定わかんねぇけど。』

そのあと少し雑談して切った。



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