君だけに、そっとI love you.
学年が二つ上のサッカー部のキャプテンの西島先輩だった。
──西島先輩から声をかけられるなんて、思ってもいなかった。
掬恵が背の高い西島先輩を思いっきり見上げる。
「おはようございます……」
「眼鏡、やめたの?」
「はい、コンタクトに──」
「感じが凄く変わって、良いよ」
「そうですか……」
「今日、サッカー部の皆に伝えようと思っているんだけど。今度の日曜日にバーベキューをしようかと思っていて。吉井さん、もちろん参加するよね?」
「えっ、あのー……?」
「まぁっ、返事は急がないからさー。また、考えといて」
西島先輩がニコッと笑った、その時だった──。
坂口くんが西島先輩に軽く会釈をしながら「おはようございます」と挨拶をしていった。
私の存在に気づかずに──。
真っ直ぐ前を向いたままスッーと通り過ぎていく坂口くん。
なんだか、いつもよりも心なしか表情がきつく見えたのは気のせいだろうか。