君だけに、そっとI love you.
・雨女と雨男
自分の部屋の窓辺に肘を付いてうなだれるように外を眺めている菊恵。
窓ガラスに打ち付けるようにして落ちていく幾つもの小さな雨の滴。
菊枝がぼそっと呟く。
……大雨、……暴風、洪水、……警報。
西島先輩から一度持ち上がったバーベキューの話。
今日までサッカー部員皆で凄く楽しみにしていたのに。
しかし、当日の朝になり 台風が向きを変え直撃、それであいにくのキャンセルに……。
まったく、こればっかりは仕方がない
……。
あぁーっ、あっ。
こんな荒れた天気の中で バーベキューをしたって、……全然楽しくない。
……って、する人絶対にいないよ──。
と、もう一度窓の外に目をやる菊恵。
なぜか、力ないため息ばかりが出る。