君だけに、そっとI love you.
この天気、やっぱり、私のせいなのかも……。
荒れる空を見上げる菊恵。
はっ──。
昔から、どこか出かける大切な日に限ってなぜか雨が多い。
別に私が雨を降らせているわけでもないのに。
“菊恵のせいだ!”なんて、雨が降ると当たり前のようによく周りから言われ。
最初はムカッとして言い返していたけれど。
何度も何度も雨が降る日と重なると 、案外そうなんじゃないかと自分でも自然に思うようになってしまったのである。
雨女、イコール、私。
吉井 菊恵、雨不足や水不足の日ならきっと神様のようにありがたれているんだろうが。
ちょ、ちょっと、待って……。
しかし、雨女と呼ばれる
女は、私一人ではないはず。
きっと、他にもいるよ。
そう、考えよう。
その方が少しは気持ちが楽になる。
うん、私だけじゃない。
吉井 菊恵、そしてその他大勢の雨女が降らせている。
地球上に雨女はたくさんいる。
こう考えた方が、楽しくない??
無理、している、かな……。
と、菊恵のスマホに着信を知らせる音楽が鳴る。
周翼からだった。