君だけに、そっとI love you.
私はこの時代に生きるには相応しくなかったのではないかと思い始める掬恵、急に周りの景色がモノクロ色に変わる。
私の理想とする時代は、やっぱり明治や大正時代──。
何と言っても、あの時代はきっと私のような地味子は多く存在をしていて、きっと珍しくはなかったはずだ。
地味子、今では希少価値のように扱われるが……。
それならいっそのこと、全国の地味子を集めて歌手グループでも作れば活気づくだろうか。
一体、しかし誰が応援をするんだろう……。
凄まじく色々な物が発展をしていく現代にあまりにも自分が理想とする物が掛け離れているような気がしてならない……。
溜め息を吐いて、完全に負のスパイラルに落ちていく掬恵。
「所詮、私は……空気みたいな存在ですよ──だ……!」とグランドの土を靴の爪先で軽く2、3度蹴り小さな土埃を作っていじけている掬恵。