とある少女の希望の光
「え…?」
「生まれつき、左腕の肩から肘にかけて真っ黒。これって呪いらしいんだ」
そんな、まさか。
「昔なんかの本でそういう人種がいるってのは聞いたことあったけど実際いるんだよ、こんな人間。…信じらんねえよな。まさか自分がなるなんて」
サラは驚いた。自分と同じ運命を背負って生まれてきた人が他にもいるなんて思ってもいなかったからだ。
「この呪いは…いつか俺自身を侵略して、俺は呪いに蝕まれて死んでいく。だから親父は早く結婚して俺の次の後継者を生ませたいんだと」
淡々と話すトキは、暗い顔なんてしていない。
もうその事実を受け入れているように見える。
「でも俺はやだね、結婚なんて。引くだろ?普通。呪われてんだぜ?」
サラはまだ信じられない。
自分はこの腕のせいで散々嫌な思いをしてきた。
一人で泣いた夜は数えきれない。
明日目が覚めたら、死んでいるかもしれないと思ってなかなか寝られない日々もあった。
「…本当なの?」
「あ?本当だよ。なんなら見る?」
トキは左腕の袖をまくり始める。
段々あらわになるそこは、確かに闇のように黒かった。
サラと同じ、夜のように暗い色。