とある少女の希望の光
「どこに行っていたんだ?サラ」
あの後、会場に戻ったらクローとジルが慌てて駆け寄ってきて怒られた。
家に帰る道中でもジルの機嫌は悪かった。
「お前を狙っている輩は少なからずいる。だからトキ王子と一緒に待たせたのに…二人で抜け出すとは感心しないな」
「ジルは知っていたの?」
「…サラ?」
「知っていたんでしょう?どうして教えてくれなかったの?」
「なんのことだ、サラ」
「しらばっくれないで!」
ジルはクローと幼馴染だと言っていた。
クローはサラの存在を知っていたし、ジルもトキの存在を知っていた。
当然、もっと深い所まで知っているだろう。
「今日、挨拶したときの会話は見せかけなんでしょう?私のこと、クロー様は何もかも知っているんでしょう?どうして!?もっと早く教えてくれていたら、この気持ちをトキ王子と分け合えたわ!きっともっと泣かずに済んだわ!」
ジルはふーっと長い息を吐き出した。
「ああ、そうだ。何もかも知っている。もちろん、トキ王子の腕のことも、だ」
「じゃあどうして…」
「…もっと早く、二人を会わせようという話をしたことはあった。正直、二人を結婚させようとしてた時期もあった…」