とある少女の希望の光
「久しぶりだな、ジル」
「クロー、この間会ったばかりだと記憶しているがな」
「はは、相変わらずつれない奴だ」
サラにとって王城は初めてだ。
見渡す限り壮大な創りに溜息が漏れる。
なにせ、最初の門からこの客間に来るまで10分はかかったのだ。
「サラ、よく来たな」
「トキ!…王子。突然のご無礼をお許し下さい」
「なんだよ。ったく…他人行儀だな」
「いえ、あの、ここは王城ですし、お父様達もいらっしゃいますので…」
「はいはい。わかったよ」
四人が向かい合うように座ったところで、使用人らしき人が紅茶と茶菓子を持ってくる。
それさえもサラは見たことがないような物ばかりだ。
「さて…。今日はなんのための集まりだったかな」
「父上!」
「いや、冗談だ。ジル、先になにか言いたいことがあるなら聞いておく」
「そうだな…じゃあ言っておく。クローは知っていると思うが、サラは私の実の娘ではない」
「え!?」
驚いたのはトキ一人だ。
「この子は生まれてすぐ、両親に捨てられた。その苦悩はきっと私達では計り知れないだろう。わかりますかな?トキ王子」