とある少女の希望の光
「サラ、包帯を」
「…はい、お父様」
いつものようにゆっくりと包帯を解く。
たちまち黒いものが現れた。
「呪われた運命を持って生まれてきた上、親の顔すら知らない。この子の抱えているものはとてつもなく大きい。…トキ王子、君ならサラをどう守り抜く」
返事を促されたトキは、無言で上の服を脱ぎ始めた。
「…トキ、いいのか?」
「父上、俺は俺が思うように答えます」
そうして現れた左腕。
その肩から肘までにかけて、サラとまったく同じ色をしていた。
さすがのジルも少し狼狽える。
「…俺の左腕は、普通の人よりも少しおかしいかもしれない。頼りないかもしれない。だけどそれは見た目だけです」
サラは自分の右腕を左手で握った。
体温をちゃんと感じる。脈も打っている。ちゃんと、生きている。
「この左腕でサラを抱き締めることが出来る。頬に触れてキスをすることも出来る。明るい道を指し示すことだって出来る」