とある少女の希望の光
「俺は自分の運命を不幸だなんて思っていません。そう簡単にくたばる気も無い。これからの人生を楽しんで進む自信がある。…そしてその道に、サラがいて欲しい」
トキが立ち上がり、ジルの前へと歩を進める。そして床に片膝を着き、左腕を突き出した。
「これからの人生をサラと歩めるなら、一生側に置きます。あらゆる恐怖から守ります。この左腕と、サラの右腕と共に。それから、決して諦めません」
誰もが息を飲んだ。
いずれ国を背負う者のこれほどの覚悟というのは、身を震わせるものがある。
サラの目からは涙が流れる。
今までたくさんの人に求婚されて来たけれど…こんなにまるごと自分を受け入れてくれる人は初めてだった。
結婚することは無いと思っていた。自分は一人で生きていくのだと、そう思っていた。
トキは、一国の王子だ。背負うものは多いだろう。その上、サラの存在までも抱え込んでくれるというのか。
そう思うと、もう涙は止まらない。
「どうか、サラと歩む道を…俺に下さい」
「…そうか。君は…いや、君ならきっとサラを私以上に大事にしてくれる」
ジルがトキの肩を叩いた。