とある少女の希望の光
「サラ、その包帯を取りなさい」
「…はい、お父様」
ゆっくりと、相手に見せつけるように包帯を解く。
相手の男性は徐々に目を見開き、やがて恐怖に顔を歪める。
「っ………!」
声にならない叫びを上げ一歩後ずさる。
後ろに転げないようになんとか踏ん張っているその足は、一度求婚した男故のプライドか何かだろうか。
「サラはお前には抱えきれない苦悩を抱えて今まで生きてきた。お前にそれを共に背負う覚悟があると言うのか?」
「い、いや、俺は…」
「わかったら金輪際娘に近寄るな。このことを他言することも許さん。もし守れぬようなら…」
ジルの低い威圧的な声が静かに、だけど確かに響く。
「お前の父親の不正を世にばらまくとしようか。例えば隣国への密輸、茶会での密告…」
「ど、どうしてそんなことを!」
「おや、娘に近付く輩を徹底的に調べあげるのは父親の役目だと思うが?貴様にはわからんことだろうがな、ベネックス家三男坊のロベール氏?」
「わ、わかった!もう二度と近付かない!他言もしない!」
そう言うとロベールは速足で会場を後にした。