とある少女の希望の光
「待ってくれ」
それまで静かに聞いていたクローが口を挟んだ。
「なんだ、クロー」
「………二年だ」
「…なに?」
「二年待ってくれ。そしたら二人の結婚を認めよう」
「父上、どういうことだ。俺なら覚悟は出来てる」
「お前の気持ちはわかった。サラ嬢もそれを望んでいるだろう」
「ならどうして…」
椅子に深く腰掛けてクローは眉間を押さえた。
皆が困惑した表情を浮かべている。
「ジル。お前もあの文献を共に読んだであろう」
「…お前とはあらゆる文献を調べたはずだが、一体どれのことだ」
「トキ、サラ嬢。お前達は今年で18になる。そうだな?」
「あ、ああ。その通りだ」
「私も、そうです」
「…これからの二年間が山場だ。ジル、思い出せ。調べた文献の中に一つ、やたらと詳しく書いてあるものがあったな?」
ジルは考え込む素振りを見せた。
そして次の瞬間、はっとした顔になった。
「…まさか」
「その書物には呪われた人達の生き様がリアルに描いてあった。だいたいが20歳までに死んでいる…そうだったな?」
「…確かに、20年以上生き延びた者はいない、と記してあったが…」