とある少女の希望の光
夕刻近くなり、サラは食事の支度を始めた。
ジルの好きなかぼちゃのスープに、野菜と豆のサラダ、バターを塗ったパンを添える。
ジルは名の通った資産家だ。
当然家も大きいし普通なら使用人を雇うところなのだが、サラのことを気遣って雇っていない。
ならばとサラは家事全般を任せてもらった。
料理をするのは好きだし、掃除も洗濯も自分でした方が安上がりだ。
こんなことでジルに恩返しが出来るとは思っていないけれど、ただ育ててもらうよりは気が休まる。
「よし、あとはジルの帰りを待つだけね」
テーブルに食事を並べ、一息つこうと椅子を引いた時だった。
突然視界が揺らぎ、床に膝をついた。
とっさに右腕を見る。
燃えるように熱い。
おかしい。何かがおかしいーーー。
「待って…やめて…」
恐れていたことが起こったのだろうか。
「ダメよ。あと…一年…」
そう呟いて、サラは意識を手放した。