とある少女の希望の光
「ありがとう、ジル」
「お安い御用だよ。…もっとも、これがお前の為になってるのかどうかは私では判断がつかん。お前が決めることだ、サラ」
二階へ続く階段へ向かうジルの背中を追いかける。
「…私だってよくわからないもの…」
誰にも聞こえないように呟く。
生まれつき呪われた腕を持っていた。
そう、これは呪いだ。
サラの両親は生まれて間もないサラを捨てた。
理由は醜い腕。
そういった類のことが書いてある書物を読み漁った結果、体のどこかが生まれつき呪われている人間は存在するらしい。
そしてその人間は、いつか自分自身が呪いに飲み込まれて死んでいくのだと。
けれど実際今まで本当にそんな人間が生まれてきたことはなく、所詮おとぎ話なのだと誰もが思い込んでいたし、信じているほうが馬鹿馬鹿しいくらいだった。
そしてサラが生まれた。
両親は戸惑い、そして絶望した。
自分達から呪われた子供が生まれて来たことを誰にも知られたくなかったのだろう、ひっそりと捨てたのだ。