とある少女の希望の光
「寂しいものだな、ジル」
「クロー…」
徐々に落ち着きを取り戻した城内で二人は向かい合う。
「サラ嬢が倒れたと聞いたときはどうなることかと思ったが…さすがはお前の娘だ。見事な生命力だった」
「…お前はサラのことを…私の娘だと言ってくれるのだな」
「なんだ。お前が違うと言うなら訂正するが?」
「いや…」
赤ん坊の時からずっと側で見てきた。
自分が与えられる全てを与えてきた。
自分の元から去ってしまうのはとても寂しい。
だけど同時に、とても喜ばしいことでもあるのだ。
「あの子は私の娘だよ、たった一人の。間違いなく、な」
「…たとえ直接言わなくとも、あの子には伝わっているだろう」
呪いを乗り越えた子を持つ親にしかわからない気持ちを、今はただただ二人で噛み締める。
その子達の将来が幸せなものであることを祈って。