とある少女の希望の光
ジルはサラの父親の兄だ。
サラを捨てたことを知り、呪われていると知りながらも引き取って大切に育てた。
結婚していなかったジルは、実の娘のようにサラに愛情を注いだ。
もともと資産家であった彼はパーティーに招待されることも多いし、上流階級の人々とのネットワークも広い。
そういった公の場ではサラに自分のことをお父様と呼ばせ、悪い虫がつかない様にしてきた。
それでも目の前をしつこくちらつく虫にはさっきのようにサラの秘密を見せつける。
これは呪いを隠し続けてきたサラにとっては酷なことだったかも知れない、とジルは考える。
それでも知って欲しかったのだ。
その呪いが、時には自分を守る武器となることを。
「今日のパーティーはなかなか大物揃いね、ジル」
二階の休憩スペースで一息つく。
「そうだな。なんたって今日はあのクロー様主催だからな」
「え!?クローって…あの国王ご子息の!?」
王政制度が根強いこの国では町の中心部に王城がそびえ立っている。
そこには朗らかで人情の厚い国王様一家が住んでいる。
クロー様というのは国王様のご子息で、結婚してお子様もいるはずだ。