とある少女の希望の光
「お前もだいぶ人の顔と名前を憶えてきたようだな」
「だって!今までクロー様主催のパーティーなんて初めてよ!どうりで今日は顔ぶれも会場も素晴らしいはずだわ」
「その面子に呼ばれる私のことも褒めてくれても良いんだぞ?」
「そうね、確かにそうだわ。…あれ?ジルってクロー様と知り合いだって言ってなかった?」
「あれは幼馴染だ。もう随分と長い付き合いだから今更”様”を付けるほうが違和感があるな」
話し込んでいるうちに下のフロアが騒がしくなってきた。
「…ジル、誰かきたみたいよ」
「お、ご子息のお出ましか。挨拶にいくとしよう」
下のフロアを覗き込むと誰かが一斉に取り囲まれているのが見えた。
「サラ、お前も失礼のないように。あ、そういえば…クロー様の息子がちょうどお前と同じぐらいの歳だったか」
「え?本当?ちょっと待って、包帯ほどけそう!ジル、ちゃんと結びなおして!」
「何をばたばたしてるお前は」
きっちりと包帯を直して下のフロアに降りる。
サラは思う。自分も男だったら、こういう場所でも長い袖に隠れてこの腕が見えないのに、と。